小さな星「B-612」と、透明な夜の香り

こんにちは!

日々の気づきやお気に入りを並べるお店
ににふに堂🌿店主 水野しろくろです。

今回は、お正月に出会ったひとつの香りから、思いがけず本の世界へ旅したお話を。


香りから導かれた 本

今年のお正月にCeles(香水のオンラインショップ)の福袋を買いました。

そこに入っていた小さな香水のうちのひとつ、 

ニシャネの「B-612」。

 

それは、どこか懐かしく落ち着く香り。

昔、おじいさんの家に遊びに行ったときに感じた、木の匂いと清潔な空気が混ざったような。

 

B-612」--この不思議な香水の名前。

Celesのサイトでこの香水のコンセプトを見ると、

星の王子さま小惑星の香りを構成するオークモスやパチュリの土や苔の香り、無重力空間のようにたゆたうミネラル感。

とのこと。

「これ 『星の王子さま』の香りなんだ。 

…そういえば、ちゃんと読んだことなかったな

 


星の王子さまサン=テグジュペリ

本屋に行って「星の王子さま」を買ってきました。

今回購入したのは新潮文庫版です。

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香水「B-612」を手首にまとって読んでみます。

 

本を手に取ると、金箔で装飾されたイラストがとってもかわいい表紙です!

雑貨などでもよく見かけるのも納得です。

このイラスト、作者のサン=テグジュペリ自身が描いたものだったんですね。知らなかった。

サン=テグジュペリは、パイロットであり、作家であり、イラストのセンスもあるなんて、本当に多彩な人だったのですね。

 

物語は、砂漠の真ん中に不時着した飛行機のパイロットが主人公。

彼が出会うのは、とても魅力的な、不思議な王子さま。

 読み進めるうちに、どんどん引き込まれていきました。

王子さまは、大人の感覚と子どもの感覚の違いを語ります。

その言葉に、わたし自身、子どもの頃の感覚をすっかり忘れていたことに気づかされました。

 

物語の後半では「大切な人との時間を大事に過ごした方がいい」というメッセージ。

王子さまが故郷の小惑星「B-612」に残してきた大切なバラの花。

喧嘩もしたし、煩わしく思っていたけれど、一度関係性を築いた相手は、この世にたくさんあるバラのうちの1本ではない、「自分にとってかけがえのない存在」だということに気づきます。

わたしも、もっと人間関係を大事にしていかないといけないなと思わされました。


香水「B-612」の香り

物語の中では、小さな星「B-612」がバラのいい香りでいっぱいになります。

だけど、この香水には、ローズの香りが一切入っていないのです。

これは、バラが星に登場する前の星の香りだったのか、もしくは、バラがいなくなったあとの星の香りなのか。

清潔感のあるウッディな香りにほんのりと甘さも感じます。

ラベンダーやゼラニウムが、その甘さの元かもしれません。

このほんのりとした甘さが、遠い記憶の中のバラの香りなのかな、と思ったり。

 

ただ、香り全体から受ける印象としては、小惑星の香りというよりは、

優しくて哲学的な語り手であるパイロットか、 

作者のサン=テグジュペリのイメージに近いかもしれません。

どこか大人の男性を感じさせる香りです。

 

私は最初、この香りから、木造の古い診療所をイメージしました。

静謐な中にもどこか温かみのある空間という感じ。

もしかしたら、この香水を作った調香師の方は、そんな場所をイメージしていたのかもしれませんね。

 


「透明な夜の香り」千早 茜 著

調香師という職業を意識したのは、この本を読んでからでした。

千早 茜 さんの「透明な夜の香り


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あるところで見た書評に「『西の魔女が死んだ』が好きな人は好きだと思う。」と書かれていて、気になり手にした本です。

ちょうど、わたしが香水にはまっていた時期でした。

目次を見ると、「1:Top Note」「2:Floral Note」…など、香水の紹介文でよく目にする言葉たちであったことも興味を持ったきっかけです。

 

主人公は一香という若い女性。

彼女が、人並外れた嗅覚を持つ調香師の家で家事手伝いとして働き始めることから、話が広がっていきます。

 

その家は、まるで現実から隔離されたような静かな空間。

調香師が、すべての洗剤や化粧品などを調合し、家の中の香り、さらには主人公 一香が身に着けるものすべての香りまで管理しています。

外の世界の喧騒との対比もあり、読んでいるわたしもこの家の中が落ちつくように感じました。

 

主人公は、この調香師の声を「紺色の声」と表現します。時々、音を色で表現するのです。そういう繊細な感性の持ち主なのだなと思いました。 

だから、この調香師とも相性がよかったのかも。

 

タイトルや表紙からして、静かな雰囲気のお話ですが、意外にも人間の心の闇を書いた作品でした。

 


香りが導く記憶の旅

 

「透明な夜の香り」にも書かれていたのですが、香りというのは記憶に密接に結びついています。

文字からは香ってはきませんが、その表現で香りを思い出して、実際感じているような気持ちにもなります。

 

わたしが香水をもとめたのも、 
何か香りから落ち着く記憶をたどっていたのかもしれません。

 

みなさんは、香りからなにか思い出したことはありますか?